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任意売却におけるデメリットと回避方法を紹介

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任意売却で全て問題が解消する訳ではないことを知ろう

住宅ローンの返済が難しくなったとき、競売にかけられる前の手段として「任意売却」という方法があります。競売に比べると自分の意志を反映しやすい売却方法であり、返済が楽になると言われていますね。「売却しても住み続けられる」という謳い文句も目立ちます。

しかし、メリットばかりに目を向けていては正しい判断ができません。デメリットを知ることで、今後の対策を詳細に計画していきましょう。

目次

1.任意売却を進める上で知っておきたいデメリット
2.任意売却が失敗したときの問題点
3.任意売却のデメリットを避ける3つのコツ
4.デメリットを知って任意売却の早期決断

任意売却を進める上で知っておきたいデメリット

任意売却をすれば諸問題が全て解消、というわけではありません。たしかに競売よりは売却額が高くなることが多いですが、その一方では様々なデメリットも挙げられます。ここでは、6つのデメリットを紹介していきます。

任意売却のデメリット

・一定期間ブラックリストに載ってしまう

・親権者の同意が必要

・買い手がつく保障がない

・依頼先が見つかりにくい

・精神的負担の大きい内覧対応

・売却してもローンの返済は続く

 一定期間ブラックリストに載ってしまう

「借金の返済が滞るとブラックリスト入りする」と聞いたことがあるでしょう。ここで言うブラックリストとは、いわゆる信用情報機関の個人信用情報に「事故情報」が掲載されることを指します。信用情報機関は3社あり、住宅ローンやカードローンに関する金融事故はKSC(全国銀行個人信用情報センター)が取り扱っています。

金融事故は、返済の遅滞、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産を含めた総称です。不動産の任意売却に至る場合は、概ね返済遅滞が発生してからでしょう。61日以上の遅滞で掲載期間は5年、自己破産なら10年となり、この期間は新たにローンを組むことはできないとされています。

 債権者の同意が必要

任意売却は住宅ローンの残債があることを前提としています。その理由は自己資金のみで購入、または住宅ローンを完済していれば通常の売却になるからです。

住宅ローンを組むときは、購入する不動産を担保として債権者が抵当権を設定します。抵当権は、不動産が競売にかけられた際に優先的に弁済を受けられる権利のことです。この権利があるにもかかわらず、主債務者が勝手に不動産を売却してしまうと担保を失うことになります。

不動産が高値で売れれば完済できることもありますが、任意売却ではローンが残るケースがほとんどです。返済が続くにもかかわらず担保を売却されるわけにはいかないため、任意売却は債権者の同意が必要となっています。連帯保証人がいる場合は、その人の同意も必要です。

 買い手がつく保証はない

任意売却は見かけ上、通常の売買と変わりません。取扱い業者が任意売却専門業者になるだけで、市場に売り出します。また、売り出し価格も市場価格とほぼ同じ、急ぐ分少しだけ安くする程度です。差し押さえによる競売の取り扱いが裁判所であること、売却額が市場価値の7割程度になることと比べると、大きく異なっています。

さて、通常の売買と変わらないということは、買主の募集から売却までの流れは変わらないということです。売り出す不動産が魅力的であれば買い手もつきますが、そうでなければ必ずしも売却できるとは限りません。さらに、競売にかけられるまでに売り抜けなければならないという制限もあります。

依頼先が見つかりにくい

先述の通り、任意売却は専門業者に依頼する必要があります。見かけ上の取引は通常の売買と同様ですが、任意売却の特殊性を鑑みると、一般的な不動産会社では扱い切れません。残債の扱い、債権者と連帯保証人の同意を得ることなど、交渉を上手くやってくれる業者でなければ任意売却は成立しないでしょう。

世の中には任意売却希望者を食い物にしている悪徳業者も存在します。任意売却専門業者が一般的な不動産会社とは異なることを悪用し「任意売却には手数料が必要です」と告げて売却前に金銭を要求する手口です。しかし、宅地建物取引業者は売却後の仲介手数料しか受け取ってはいけないことになっています。事前の手数料の請求は明らかに不当です。

また、不当とは言い切れないまでも、任意売却の専門知識や経験を持たない不動産会社に依頼してしまうと、期間内で売り抜けられないといった結果を招くこと場合があります。任意売却においては、こうした不動産会社選びにも注意が必要です。

精神的な負担が大きい内覧の対応

任意売却も通常の不動産取引と同様の売却手順を踏むため、建物の売却なら購入希望者の内覧を受け入れなければなりません。これは精神的な負担を強いられます。新居に移るために現在の不動産を売却する場合は快く受け入れられるでしょうけれど、任意売却は本当なら住み続けたい家の売却になるはずです。新居購入に目を輝かせている人々の内覧を受け入れることは精神的に辛い部分もあります。

ローンの返済は続く

任意売却に成功しても、残債があれば返済は続きます。しかし、ローンを組んだ当初の返済額を払い続けることができるなら任意売却にはならないはずです。そこで、債権者の同意を得て少額の返済プランに切り替えてもらい、長期間で返していく手段をとります。

ただし、債権者が少額返済に応じず、サービサーと呼ばれる債権回収会社に債権を売却することもあります。売却された債権の金額の分割とサービサーの利益分を合算した金額が請求されます。

ここまでのまとめとして「通常の売却」「任意売却」「競売」を比較しておきます。

通常の売却 任意売却 競売
取扱い 不動産会社 任意売却専門業者 裁判所
売却額 市場価格 市場価格に近い 市場価格の7割前後
残債 売却額で一括返済が主流 返済しきれないことが多い
売却後も返済が継続
ほとんど返済しきれない
売却後も返済が継続
個人信用情報の
事故情報掲載
なし 5年 クレジットカード:7年
銀行:10年
住宅ローンの借り換え できる できない できない
内覧 ある ある ない
連帯保証人の同意 不要 不要

 

任意売却が失敗したときの問題点

任意売却に失敗し、資金繰りがその後も改善しなければ待っているのは競売です。任意売却よりも競売のほうが金額的なデメリットが大きいため注意しましょう。また、目的によっては任意売却ができても失敗、ということもあります。

住む家がなくなってしまう

「任意売却なら住み続けられる」というのを聞いたことがある人もいるでしょう。これは正しくもあり、間違いでもあります。正確に言えば「任意売却でもリースバックしてもらえれば住み続けられる」です。つまり、住み続けたいならリースバックという手段をとらない限りは「失敗」であり、家を失うことになります。

リースバックとは

リースバックは、買主が大家となって元の所有者に家を貸し出す方法のことです。任意売却後も住み続けたいのであれば、リースバックをしてくれる買主を探さなければなりません。リースバックをしてくれるということは、その買主は投資家であり、その家に住む予定のない人を指します。しかし、良心的な投資家ばかりではないため注意が必要です。

実際に、家賃の値上げをされる、将来的に買い戻すことをお願いしていたのに他の人へ売却される、立ち退きを請求されるなどトラブルが発生しています。しかし、このような考えの投資家ばかりではありません。投資である以上は利益を出すのが当たり前で、ボランティアではないからです。

退去前提で進めるべき

リースバックが可能なら住み続けることができますが、ここで問題となるのが競売までの期間の制限です。リースバックしてくれる買主を待っている内に競売になれば、家を出ていかなければなりません。その上、競売では任意売却よりも残債が高額になってしまいます。

「自らの住居としての購入希望者に売っておけば競売にならなかったのに」と後悔しても遅いです。そのときになって引っ越し費用もないのでは今後の生活が危ぶまれます。リースバックで住み続ける手段は、理想としては掲げつつも退去前提で任意売却を急ぐべきでしょう。

ローンが残り過ぎて自己破産

任意売却は市場価格に近い金額で売れますが、失敗して競売になると市場価格の7割程度になります。たとえば、2,500万円の残債があり、任意売却で2,000万円を返済、残りの500万円ならどうにか完済できる計画だったとしましょう。しかし、任意売却に失敗して競売となれば1,400万円程度しか返済できず、残債は1,100万円です。このように、任意売却と競売では売却額の差が大きく、返済計画は変わってきます。

自己破産の基準は3~5年で完済できないことです。先の例、1,100万円で考えれば年間220万円~370万円程度を返済しなければなりません。実際には遅延損害金と利子の支払いもあるため、より高額になり、平均的な収入ではかなり厳しいです。任意売却に失敗して競売、そして自己破産、という事態を招かないように迅速な売却を行いましょう。

 連帯保証人も自己破産に追い込まれる恐れ

任意売却に失敗して競売にかけられるとなれば、自分だけでなく連帯保証人にも大きな負担を強いることになります。最悪の場合、連帯保証人も自己破産してしまうかもしれません。さらにいえば、任意売却が視野に入った段階から連帯保証人に負担をかけていることが多いです。その理由を見てみましょう。

連帯保証人と保証人の違い

連帯保証人は保証人とは違います。保証人の場合は「催告の抗弁」という権利があり、貸金業者から支払を求められても「まずは主債務者に請求してよ」と主張できます。また、主債務者の財産の差し押さえを要求できる「検索の抗弁権」も存在するため、あくまでも最終的に返済義務を負うという立場です。

一方、連帯保証人の立場は主債務者と同じです。言い換えれば「自分が借金をしたのも同じ」ということを意味しています。主債務者と同等の立場である以上、催告の抗弁権も検索の抗弁権もありません。主債務者の返済が遅滞した段階で、貸金業者は連帯保証人への請求を開始するでしょう。貸金業者は回収できるところから回収すればよく、任意売却や競売を待ってあげる義理はないからです。

一括返済の請求

先述の「遅滞した段階で連帯保証人へ請求を開始」というのは、その時点で遅滞されている分だけです。仮に月々の返済額が10万円だとして、主債務者が3カ月遅滞すれば、30万円が連帯保証人に請求されます。

しかし、主債務者が自己破産するとなれば話は別です。主債務者が自己破産すると、貸金業者は連帯保証人に対して残債一括返済を請求します。任意売却の失敗によって残債が高額になっていれば、連帯保証人も自己破産まで追い込まれるかもしれません。自らの今後だけでなく連帯保証人への負担も考慮する必要があります。

 

任意売却のデメリットを避ける3つのコツ

既に返済を遅滞していれば、個人信用情報に事故情報が掲載されるのは避けられません。しかし、それ以外のデメリットはある程度避けることができます。そのコツを3つ紹介します。

 信頼できる任意売却専門業者を探すこと

任意売却は不動産の知識だけでは取り扱うことができません。売るまでなら宅地建物取引業免許があれば可能ですが、任意売却後の債務整理まで相談できなければ解決とはいえないからです。民法の知識が必要であるため、専門的な弁護士を抱えている、または提携していることが業者選びの重要なポイントといえます。

もちろん任意売却の実績を見ることも大切です。競売になる前に、かつ残債を最大限に減らせる売却額で売り抜けるかどうかを考慮しましょう。話がなかなか進まないような業者で何度も同じやりとりをしている暇はありません。

 売却期間確保のため早く相談

任意売却は返済遅滞をしてから相談する人が多いようですが、実はそれだと結構遅いです。任意売却が可能になるのは返済を遅滞してからですが「今後払えない可能性が高い」と分かったときから相談は進めておくべきでしょう。たとえばボーナスがカットされた、病気になり今までの仕事を続けられなくなった、などです。

任意売却は通常の売買と同じように一般の買主を探すことが多いため、売り出し期間を長く確保したほうが好条件の買主が見つかる可能性が高いです。任意売却が可能な期間は、返済遅滞が始まってから、およそ13カ月間です。競売の手続きは遅滞7カ月目から始まり、8カ月目で差押通知、9カ月目で競売開始決定通知書が届きます。そして調査が行われ、入札開札は13カ月目。任意売却は開札日の2日前までしか認められません。

売却に向けた段取りだけでも最低1カ月はかかります。せめて、不動産の権利関係を確認できる書類と間取りなどが分かる図面の用意は返済遅滞が発生する前に済ませておきたいところです。

連帯保証人に誠意のある対応

任意売却は債権者のみならず連帯保証人の同意も必要であると先述しました。その同意は「売ること」だけでなく「売却額」も考慮されます。問題はこの売却額が低かった場合です。債権者は自己破産されて回収不可能になる前に、まとまったお金で返してもらったほうが良いと考えるでしょう。そのため、同意する可能性は高いです。

しかし、連帯保証人は違います。売却額が低いということは、連帯保証人として返済しなければならない金額が高くなるとういうことです。到底承諾することはできず、なんとしても高額で売却するように求めてくるでしょう。ここで感情的になっても一向に同意が得られませんから、誠意ある対応で折り合いをつけてもらうしかありません。

この交渉は個人間では感情論になりがちです。任意売却の専門業者に協力を依頼し、連帯保証人の負担を最小限で食い止める術を説明してもらいましょう。

デメリットを知って任意売却の早期決断

任意売却が視野に入った段階で早急に動き出すことが成功のカギです。とくに業者選びに時間をかけている暇はありません。「これは返済できるか怪しいな」と思った段階から、任意売却の専門業者を探し始めましょう。とはいえ、任意売却を得意とする業者は一般的な不動産会社ほど多くありません。中には悪徳業者も紛れ込んでいる可能性もあります。

悪徳業者や実績の少ない業者を候補から排除するには、個別の連絡ではなく一括査定サイトを活用することをおすすめします。優良企業のみに絞っているサイトであれば安心して相談することができます。できるだけのことをやりきって、後悔しない選択をしましょう。

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